自宅でインターネットを利用するためには回線とプロバイダの契約をしなければいけません。
あまり考えずに契約したり、契約してから何年も経っていたりすると、引っ越しの際などに「あれ?どこのプロバイダを使っていたっけ?」と悩んでしまいます。
ここでは、現在契約しているプロバイダを調べる方法と、引っ越しの際に必要な手続きについてご紹介いたします。
プロバイダとは
そもそも「プロバイダ」がどういうもので、どのような役割を持っているのかが分からないという方も多いのではないでしょうか。
プロバイダとは、インターネットへ接続するためのIDとパスワードをユーザーに発行してくれるサービスで、ISP(インターネット・サービス・プロバイダ)とも呼ばれます。
自宅でインターネットを利用するには「固定回線」または「モバイル回線」の利用を申し込む必要があります。
そして、回線と同時に契約するのがプロバイダです。
回線はパソコンやスマートフォンとインターネットを結ぶ道のようなもので、プロバイダは最終的にインターネットに接続するための許可証を発行してくれるものです。
遊園地や水族館なども入場するにはチケットが必要ですが、そのチケットを販売している売り場と同じような役割を果たすのがプロバイダとなります。
道が無ければインターネットまでアクセスすることができませんし、入場チケットが無ければ中に入ることができません。
回線契約とプロバイダ契約は必ずセットで必要になるのです。
携帯電話やスマートフォンの場合はあらためて契約するわけではないので回線やプロバイダと言われてもピンとこないかもしれませんが、しっかり料金の中に含まれています。
またポケットWi-Fiも本体があればインターネットに接続できると誤解されがちですが、こちらも「WiMAX」などの回線と「UQ」などのプロバイダに契約したうえで利用しています。
主なプロバイダ
回線業者はNTTが提供する「フレッツ光」かKDDIの「auひかり」、そして各エリアの電力会社によるものが主力です。
その点プロバイダはサービスを提供している業者の数が多く、日本国内に数百社以上存在しています。
中でもシェア率の高い主なプロバイダをいくつかご紹介。
- OCN
- Yahoo! BB
- So-net
- BIGLOBE
- plala
- @nifty
- ASAHIネット
- DTI
上記の中でもNTTコミュニケーションズが運営するOCNのシェア率が最も高いです。
プロバイダは、回線業者が対応しているものであれば自由に選択することができます。
ただし最近はNTTが光回線の卸売りを行うようになったことから回線とプロバイダをセットにして提供している業者も多く、その場合はプロバイダが決まっているため選択できない場合も。
こういったサービスを「光コラボレーション」と呼び、サービス提供元へ回線使用料と月額利用料の両方を支払うことになります。
主な光コラボレーションサービスには「NURO光」「ソフトバンク光」「OCN光」などがあり、例えば「NURO光」はSo-netのサービスなのでプロバイダはSo-netのみです。
ちなみに、コミュファ光(中部)・eo光(関西)・ピカラ(四国)などの電力会社も回線業者とプロバイダを兼ねており、こちらは独自の光回線を持つことから「一体型サービス」と呼びます。
プロバイダの確認方法
主要サービス業者の名前を見て契約プロバイダを思い出した方は解決ですが、名前を見てもまだピンとこない方はここで紹介する方法を試してみてくださいね。
オンラインとオフラインの両方から確認できる方法がありますので順に見ていきましょう。
オンライン
まずはオンラインでプロバイダを確認する方法です。
インターネットに接続できる状態でプロバイダを確認するのが最も確実な方法になります。
メールアドレスを確認する
契約したプロバイダからは最低1つ以上のメールアドレスが付与されています。
「○○○@ocn.ne.jp」であればプロバイダはOCN、「○○○@ybb.ne.jp」であればプロバイダはYahoo! BBのように、@の後に続く文字列はプロバイダを表していることがほとんどです。
しかし最近はフリーメールなどが普及し、プロバイダのメールアドレスは使用しておらず分からないという場合も少なくありません。
そんなときは次の項目を試してみてください。
IPアドレスから調べる
IPアドレスはインターネット上の住所のようなもので、パソコンやスマートフォンから専用のWEBサイト「確認くん 」にアクセスするだけで分かります。
上記の「確認くん」にアクセスすると、すぐにIPアドレスが大きく表示されます。
このIPアドレスをコピーして、「Whois-ドメイン調査ツール 」にアクセスしましょう。
「Whois-ドメイン調査ツール」の入力窓にIPアドレスをペーストし、「Whois」のボタンをクリックします。
すると英語で書かれたドメイン情報がずらりと表示されますので、中から「descr:○○」という部分を探してください。
これがプロバイダ名となります。
オフライン
上記の2つのやり方はインターネットにつながっていることが前提です。
ネットワークに不具合があり接続できない状態になっていると試すことができませんので、その場合は以下の方法で確認を試みてください。
支払いの明細を調べる
インターネットを利用しているということは、確実にどこかのプロバイダと契約をしていることになります。
そのため、毎月の利用料金が必ずどこかに請求されているはずです。
クレジットカードの利用明細や銀行口座の通帳などを確認し、毎月引き落とされている項目を確認してみましょう。
引き落としがかかってれば「So-net利用料」「ぷらら利用料」のようにプロバイダ名が記載されています。
ただし、回線業者から一括で請求がくるように設定している場合は回線業者の名前が記載されるためプロバイダ名が分からないというパターンもあります。
例えば、「So-net光」はauひかりの回線を利用しているため、「KDDIまとめて請求」が可能です。
するとプロバイダは「So-net」ですが請求書には「KDDI」と明記されてしまいます。
その場合はKDDIの請求料金の明細にプロバイダ名が記載されている可能性があるのでそちらを確認してみてください。
契約書類を調べる
プロバイダと契約した際には、IDやパスワードが書かれた書類を受け取ります。
書類には「重要書類」といった記載があるので、紛失したとしても捨ててしまったという可能性は低いのではないでしょうか。
一度自宅の中を探してみると良いかもしれません。
回線業者へ問い合わせる
プロバイダは分からないけれど回線なら分かる、ということであれば回線業者へ問い合わせることで確認が可能。
集合住宅の場合
アパートやマンションなどの集合住宅では、あらかじめプロバイダを一括で契約していることがほとんどです。
すると設定の際にあまりプロバイダを意識しないため、引っ越しの際などに分からなくなってしまいます。
この場合は管理人さんや管理会社に問い合わせるのが近道です。
引っ越し時の手続き
プロバイダを調べる必要が生じるケースとして多いのは引っ越しのときです。
ここでは引っ越しの際に必要な手続きと、乗り換えと継続のどちらがお得になるのかについてまとめました。
まず引っ越しの際の手続きについてですが、現在のプロバイダを継続して利用するパターンと、現在のプロバイダを解約して別のプロバイダと契約するパターンの2つに分かれます。
それぞれ手続きの流れが異なりますので確認しておきましょう。
現在のプロバイダを継続する場合
現在使用している回線とプロバイダをそのまま新居でも利用するのであれば、回線の切り替え作業が必要になります。
細かい流れはプロバイダによって異なりますので、おおまかな流れをご説明しておきます。
まず手続きに必要な情報は以下の3点です。
- 現在契約している内容とお客様IDが分かる書類(契約時に受け取る書類です)
- 新居の住所
- 工事の希望日
上記を用意した状態で、現在契約している業者へ連絡を入れましょう。
回線とプロバイダを継続利用する上で注意しておくべきポイントは以下の3点です。
新居のエリアが現在の回線とプロバイダに対応しているか
例えばフレッツ光は東日本と西日本で業者が異なるため、継続ではなく一度解約してから新規契約となります。
また引っ越し先が集合住宅ですでに回線とプロバイダが決められている場合も継続できません。
ただしこちらの場合は管理会社や大家さんに相談することで対応してもらえる可能性もあります。
移転にかかる費用
同じ回線やプロバイダを利用する場合でも、引っ越し先で改めて開通工事が必要になるため工事費用が発生します。
無料で移転できると思っているとトラブルになりかねないので金額は事前に確認しておくことをおすすめします。
インターネットの利用期間
現在の住居でいつまでインターネットが利用できるのか、また新居ではいつからインターネットが利用できるようになるのかを確認しておきましょう。
新居で開通工事が必要な場合は、事前に日程を決めておかないと時間がかかってしまいます。
特に引っ越しの多い春先は工事が込み合って思うように予約が取れない可能性も。
なるべく1ヵ月以上前、新居の住所が分かった時点で連絡しておくと良いでしょう。
現在のプロバイダを解約する場合
現在使用している回線とプロバイダではなく別の回線とプロバイダを利用する場合は、解約と新規契約の手続きが必要になります。
こちらも細かい流れはプロバイダによって異なりますので、おおまかな流れをご説明しておきます。
手続きの際には現在契約している内容とお客様IDが分かる書類(契約時に受け取る書類)が必要です。
こちらを用意した状態で、まずは現在契約している業者へ解約の連絡を入れましょう。
解約の手続きが完了してから、新しい回線とプロバイダの契約を行います。
また解約の際、回線とプロバイダを別々で契約している場合は必ず両方の解約を行ってください。
回線とプロバイダを解約する上で注意しておくべきポイントは以下の3点です。
解約に伴い使えなくなる機能
現在のプロバイダから付与されているメールアドレスは解約に伴い利用できなくなります。
プロバイダのメールアドレスとは、OCNであれば「○○○@ocn.ne.jp」、Yahoo! BBであれば「○○○@ybb.ne.jp」のようにプロバイダ名が@のあとに記載されたものです。
更に電話番号も変わりますので仕事で利用している場合は新しい番号を周知させるなどの作業がついてくることになります。
違約金の支払い
契約期間内に解約をした場合などは回線とプロバイダの両方で違約金が発生します。
また工事費を分割払いしておりまだ残高がある場合は残高を一括で請求されることも多いため、ある程度の費用がかかることを頭に入れておきましょう。
タイミングによっては解約が希望月の翌月にずれる場合もあり、インターネットを利用していないのに月額利用料を請求される可能性もあります。
こちらもトラブルになりやすい部分ですので、事前に確認を行うことと早めに連絡を入れることが大切です。
レンタル機器の返却
モデムやルーターを回線業者からレンタルしていると思いますので、そちらの返却も必要です。
郵送する場合と引き取りに来てもらえる場合があります。
乗り換えと継続はどちらが良い?
引っ越しするときにはプロバイダを継続した方が良いのか、乗り換えた方が良いのかというのは悩むところでしょう。
基本的には、手続きに手間をかけたくないのであれば継続、新規契約の特典を理由してお得に利用したいのであれば乗り換えがおすすめ。
基本的に継続するときの特典などはありません。
中には長期利用で月額利用料が安くなっていくプロバイダもあるので、そういった場合は継続でも良いでしょう。
新規契約の特典内容はプロバイダによって異なりますが、20,000円~30,000円程度のキャッシュバックがあったり初年度の利用が割引になったりとメリットは大きいです。
また現在回線とプロバイダを別々に契約している場合は、引っ越しを機に「光コラボレーション」や「一体型サービス」への乗り換えを検討しても良いでしょう。
契約や支払いが1か所で済むというのは意外と便利です。
現在フレッツ光を利用しているのであれば、光コラボレーションへの乗り換えは「転用」という扱いになるので回線業者に関しては違約金が発生しません。
ただしプロバイダは別途解約の手続きが必要ですので忘れないよう注意しましょう。
プロバイダの確認方法まとめ
いざという時に把握できていないと困る情報の1つがインターネットの契約内容です。
今やインターネットは生活に欠かせない存在ですから、新居に引っ越した際などは必ず手続きをすることになるでしょう。
現在契約をしている回線とプロバイダをきちんと確認し、変更や解約が必要なときでもスムーズに処理できるよう準備しておくことが大切です。