実印と銀行印を同じ印鑑で兼用している人も多いですよね。どちらも使う頻度が少ないと同じで良いのでは…と思われがちですが、実はそれぞれに用途やサイズが異なります。
今回は実印と銀行印を兼用するメリットとデメリットについて調べてみました。
これから実印と銀行印の作成を検討している人もぜひチェックしてみてくださいね。
実印と銀行印は同じものを使っていませんか
実印・銀行印はあまり使用頻度が高くない印鑑のため、同じもので済ませているという人も多いですよね。
どちらも契約時に使われる印鑑ですが、それぞれ用途が異なります。早速実印と銀行印の違いを見てみましょう。
実印と銀行印の違いとは
実印と銀行印の違いはどこにあるかと言われても、なかなか説明できない…という人も多いのではないでしょうか?
実印はフルネームで作成することが多いですが、「フルネームで作成している印鑑=実印」という訳でもありません。
- 実印・・・役所に登録された印鑑(印鑑登録を済ませた印鑑)のこと
- 銀行印(銀行届出印)・・・銀行へ届け出る印鑑のこと
実印は身分証明の際に使われる印鑑で、賃貸契約や連帯保証人、車の売買など重要な契約を交わす時に必要になります。
本人証明の証になる重要な印鑑なので、登録出来る印鑑は一人1本に限られています。
一方、銀行印は口座開設の際に金融機関に届け出る印鑑、実印と違い1本しか持てないということはありません。
そのため、銀行印の場合はむしろ、作成する口座ごとに異なる印鑑を使い分けるのが好ましいです。
「印鑑登録証明書」に登録できる印鑑は一人1つだけ
印鑑は身分証明などに使われる大事なものなので、役所に登録出来る数が限られています。
実印は身分証明の一環としても使われるとても大切な印鑑です。
模造品を使った犯罪防止のため、一人につき1つの印鑑しか登録出来ないという条件があります。
印鑑証明は個数制限の他にも、登録する時に以下のような条件があります。
印鑑登録証明書に印鑑を登録出来る人とは
- 申請する役所に住所登録をすでに済ませている
- 満15歳以上であること(登録する自治体によって16歳以上の場合もあり)
- 成年被後見人※に該当しない人
※精神上の障害などで物事の判断能力が不十分と法的に認められている人のこと
銀行印の場合は印鑑証明を行っていない実印以外の印鑑でも登録することが出来ます。
実印は契約書など日常生活の重要な場面で使われる印鑑のため、銀行印と兼用すると無くした時に犯罪に巻き込まれるリスクが高まってしまいます。
実印を危険に晒す機会を減らすためにも兼用は控えた方が良いでしょう。
銀行印で登録した印鑑と、実印を使う場面は以下のように異なります。
銀行印の場合 | 実印の場合 |
---|---|
家賃の口座引き落とし | 賃貸契約の契約書 |
水道・電気などの光熱費の口座引き落とし | 個人間の車の売買に関する契約書 |
クレジットカード作成時の契約 | 銀行や金融機関から融資を受ける時 |
保険加入の契約時・・・など | 遺産相続時の身分証明・・・など |
上記のように必要になる場面がまったく異なります。
別々の印鑑を用意したほうが犯罪に巻き込まれるリスクを回避できる確率が高まるのです。
銀行印は、銀行口座引き落としなどの契約でも使われる印鑑ですので盗まれてしまうと大変です。
「実印」と「銀行印」、どちらも登録を済ませた印鑑ですので、紛失・破損すると改印届け(登録を廃止して新しい印鑑を登録し直すための届け)を提出する必要があります。
日頃から保管場所や印鑑の管理には気をつけてくださいね。
実印と銀行印の違いを見てみましたが、他の印鑑の用途や種類はどんなものがあるのでしょうか。
実印と銀行印以外の印鑑の用途と種類
実印・銀行印の他にも日常生活で使用する印鑑にはいくつか種類があります。
仕事で使うタイプの印鑑も含めると以下のような種類に分けられます。
種類 | 用途 |
---|---|
認印 | 印鑑登録をしていない印鑑のこと。サインの代わりに日常生活で使用される。 |
訂正印 | 帳簿などの誤りを訂正した部分に使用する印鑑のこと。楕円や長方形が多い。 |
割り印 | 契約時に原本と控えの書類を合わせた境目に捺印を行う印鑑のこと。 |
宅配便や郵便物を受け取る際、昔は認印を使わなければいけませんでしたが、現在はサインで受け取っている方がほとんどではないでしょうか。
認印を使っている場合も朱肉が必要ないシャチハタを使う方が多いですよね。
このように普段使いで便利なシャチハタですが、実印や銀行印としてもシャチハタは使用できるのでしょうか。
シャチハタは実印・銀行の登録向きではない
手軽に手に入る上に、朱肉のいらないシャチハタは便利ですよね。
シャチハタは限られたほんの一部の金融機関で使用が出来ますが、ほとんどの銀行では登録印として認められていません。
実印としてもシャチハタでの登録は出来ません。
理由としてシャチハタはゴム製で出来ており、長期の使用で変形しやすいため、実印・銀行印としての使用には向いていないのです。
実印と銀行印を兼用している人が意外と多い
実印と銀行印を兼用するメリット・デメリット
あまり出番がない実印・銀行印は、別々に作るのが面倒だからと兼用している人も多くみかけます。
重要な用途で使う印鑑は、わかりやすいように同じ印鑑を使った方がいい!…なんてまさか考えていませんよね?
実印と銀行印を兼用するメリットとは
実印と銀行印を兼用するメリットとしては、印鑑を用意する手間が省けることが挙げられます。
役所での印鑑登録も金融機関での口座開設も手元に1本の印鑑があればできてしまうので、別々の印鑑を用意する余裕がない方にとってはメリットでしょう。
また、すべての登録を1本の印鑑で済ませておけば、複数の印鑑を管理しておかなくてもいいということもメリットとして挙げられるかもしれません。
このように、実印と銀行印を「1本の印鑑で済ませる」ということは一見するとメリットに見えますが、一方でデメリットにもなってしまいます。
実印と銀行印を兼用することによるデメリットとは
兼用は便利な反面、こんなデメリットがあります。
銀行印と実印を兼用しているとデメリット |
---|
登録した印鑑を紛失してしまうと手続きに時間がかかる |
印鑑の偽造や悪用されるリスクが高まる |
実印と銀行印が同じものの場合は紛失時には、まず実印登録をしている役所に行き登録した印鑑の廃止手続きを行います。
同様に銀行印の廃止手続きも行なう必要があります。
さらに新しい印鑑へと変更する手続きもそれぞれに行うため、時間が二重にかかってしまいとても大変です。
実印・銀行印 | 印鑑の紛失時にとるべき対応とは |
---|---|
同一の場合 | 役所と銀行の両方に登録印鑑の廃止・変更の手続きを行う必要がある |
別々の場合 | 紛失した一方の印鑑の廃止を行い、新しい印鑑への変更手続きを行う |
また、実印と銀行印を1本の印鑑にまとめているということは、それだけ印鑑を使った犯罪や偽造されるリスクも大きくなります。
紛失した場合はすぐに改印手続きをしましょう。
実印と銀行印を使い分けるメリットとは
実印と銀行印にそれぞれ別々の印鑑を使う最大のメリットは「安全面」にあります。
- 印鑑を紛失した時のリスクが最小限に留めることが出来る
- 紛失時の手続きが1カ所で済ませられる
印鑑を紛失しなければいいと思いがちですが、盗難や災害など紛失してしまう状況は様々です。
安全面を考慮すればこそ、実印と銀行印は別々に登録を行うのが良いでしょう。
これから印鑑を作る人必見!実印・銀行印に相応しい特徴比較
印鑑を登録する前に、印鑑作りを検討している人も多いのではないでしょうか。
実際に実印と銀行印を別々に作ろうと思うと、サイズや書体の選び方にも工夫しなければなりません。
印鑑を作るときのポイントと実印、銀行印に相応しい印鑑の特徴を押さえておくと、作った印鑑の管理がしやすくなります。
実印と銀行印を見分けられるようにどのような違いを作っていけばいいのか考えながらみていきましょう。
実印・銀行印の見分け方とは
実印と銀行印を別々に作成した場合、見分けがつかないと大変困ってしまいますよね。
見分けやすいように実印を銀行印よりも、一回り大きいサイズで作るのがおすすめです。
実印は契約書類などに使われる一番大切な印鑑。
個人で使用する印鑑の中で一番大きいサイズで作成するのが一般的であり、見分けが付きやすく管理もしやすいと言われています。
実印・銀行印のサイズとは
実際の実印と銀行印はどれくらいの大きさで作られているのでしょうか。
多くの印鑑専門店で、実印は13.5mm~18mm、銀行印は12mm~15mmのサイズが推奨されています。
男性と女性で推奨サイズが若干異なり、女性の方がより小さめの印鑑を作成する場合が多いです。
実印の推奨サイズ | 銀行印の推奨サイズ | |
---|---|---|
男性 | 16.5mm~18mm | 13.5mm~15mm |
女性 | 13.5mm~15mm | 12mm~13.5m |
印鑑の書体は自由に選べる
印鑑の作成に使われる書体は数種類あり、実印や銀行印を作る際にはその中から自分が好きな字体を選ぶことができます。
しかし実印や銀行印は偽造や似通った字体の印鑑を防止策のため、認印のようなわかりやすい字体よりも複雑な字体が好まれる傾向にあります。
実印・銀行印は偽装されにくい書体がおすすめ
実印・銀行印の字体は偽装されにくい「篆書体」と「印相体(吉相体)」がよく好まれます。 字体のそれぞれの特徴を見てみましょう。
篆書体(てんしょたい) | 古くから実印の書体として好まれている字体。紙幣に印字されている印鑑も篆書体を使用したものである。 |
---|---|
印相体(吉相体) | 篆書体を新しい形にアレンジした字体。印鑑にした時に枠が崩れにくいため人気がある |
印鑑を作成する時に同じ字体を選んでも、店舗によって多少異なる風合いになります。
実際の出来上がり具合が気になる時は、完成予想の画像などをネットで見比べてみるのもおすすめです。
女性の場合は氏名だけの印鑑を作っておくと便利
女性の場合は入籍の際に苗字が変わる人も多く、苗字だけの場合やフルネームで作成した場合結婚を機に使えなくなってしまうことがあります。
名前だけの印鑑を作成しておくと、入籍後もそのまま使うことが出来るので何かと便利です。
また未婚の場合も家族の苗字だけの印鑑と区別がつきやすいので、管理しやすいというメリットもあります。
銀行印の場合は名前だけの印鑑でも、口座の名義人の本人のものであれば問題なく登録することが出来るので作り直したくない時は名前で印鑑を作成するのもおすすめです。
印鑑は素材選びが重要なポイント
サイズや書体が決まったら、印鑑そのものの素材も選んでいきましょう。
実印・銀行印をセットで作る場合には、同じ素材を使ったものにすると統一感が出て保管しやすくなります。
必ずしも同じ素材で作成した方が良いというわけではありませんので、区別しやすいようにあえて他の素材を選択するのもありですよ。
見た目の美しさよりも「耐久性」を
印鑑を作る時に見た目がきれいな素材についつい惹かれてしまいますよね。
透き通った見た目の素材や、華やかなイラストがプリントされているものなど印鑑の持ち手がカラフルなものも数多く販売されています。
しかし長く使うものだからこそ、美しさよりも耐久性を重視して選ぶことが大切です。
印鑑の素材を見てみましょう。
印鑑の素材 | 耐久性 | |
---|---|---|
高級感 | 象牙、琥珀、牛角、チタン | 非常に高い |
エコ素材 | 玄武彩樺(げんぶさいか)、アグニ | 高い |
リーズナブル | 彩樺(さいか) 、柘 | 優れている |
この他にも水晶やアメジストなどパワーストーンで作成することも可能です。
印鑑の素材の中でも耐久性が非常に高く、一番高級感があるのが「象牙」です。
朱肉の吸収性も良いため、実印のように均等に印字しなければならない重要な印鑑にぴったりの素材と言えます。
しかし密猟者による密売などが多いため、象牙では現在作成することが出来ない店舗もありそれに代わる耐久性の高い素材が注目を集めています。
水牛の角
- 重厚感があり象牙の次に耐久性に優れている素材
- 角1本から1つの印鑑しか作成出来ないため貴重品
- 男性の人気が高い
チタン
- 強度があり非常に耐久性の高い素材
- 医療現場でも使われる金属として肌に優しく安全性にも優れている
特にチタンは金属のため重みもあり、シンプルながらも重厚感たっぷりの素材です。
男女ともに人気が高い素材でもあります。
この他にも宝石のような輝きをもつ琥珀や、リーズナブルながら耐久性に優れた柘(つげ)などの素材も女性に人気があります。
印鑑の素材によって重さもかなり異なるので、押しやすさで素材を選ぶのも大事なポイントです。
印鑑を作る時はセット購入がおすすめ
実印と銀行印など印鑑を作成する場合は、別々に作るのではなく1つの店舗で合わせて購入するとお得に購入することが出来ます。
必要になった時にその都度買い求めるよりもリーズナブルに購入出来る店舗が多いので、これから実印・銀行印の両方の作成を検討している人におすすめです。
実印・銀行印の2種類セットだけでなく、実印・銀行印・認印の3種類がセットになっているタイプも多く販売されているので、気になった人はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
低価格だけで選ぶと品質に差が出てしまうので注意
低価格で購入出来ると得した気分になりますよね。
印鑑の場合は安い価格だからといってすぐに購入を決めてしてしまうのは控えた方が良いでしょう。
低価格の物は耐久性が低く、年月が経つと劣化してしまう可能性が高くなります。
印鑑を購入する時は価格だけでなく、素材の品質・耐久性も合わせて比べてみるのが大切です。
特に実印や銀行印は頻度が少ないものの、重要な書類の捺印に何度も使用されます。
後々まで残る印鑑なので、自分が使いやすく品質の良いものを選ぶのがおすすめです。
まとめ
実印はあまり使用頻度の高い印鑑ではないため、銀行印と兼用しているという人も多くいらっしゃいますが、実際は兼用すると非常に高い危険が伴います。
兼用することで一度紛失してしまうと手続きに時間がかかる上、悪用されるリスクも大変高まります。
実印や銀行印の登録を行う時は、別々の印鑑を用意するのがおすすめです。
実印と銀行印を分けて作る手間はかかりますが、セット購入を行うと単体で購入するよりも金額を抑えることも出来ます。
後々まで使う大切な印鑑なので、耐久性のある確かな品質のものを選ぶことが大切です。
実印・銀行印用の印鑑作成に悩んだときは、ぜひ今回の内容を参考に素材や字体を選んでみてはいかがでしょうか。
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