古くから印鑑の素材として地位を確立してきた水牛や象牙などの角・牙素材。
中には輸入制限や数の減少から年々手に入りにくくなっているものもありますが、逆に新たに注目されるようになった素材もあります。
ここでは角や牙を使った印鑑の中でも耐久性や値段などの面からおすすめの素材を5つご紹介いたします。
角・牙素材を使った印鑑の特徴
角や牙を使った印鑑は昔から存在しています。
最近では希少価値が高く手に入りにくいものもありますが、見た目の美しさと耐久性の高さから現在も根強い人気を誇る素材です。
水牛や牛角(うしのつの)などの角素材は、人間でいうと「爪」や「皮膚」のようなイメージです。
主に動物性たんぱく質でできており、硬さと粘り気があるため耐久性の高い素材となっています。
乾燥にはやや弱いため、定期的に植物性のオイルを塗るといった手入れをしてあげると良いでしょう。
象牙やマンモスなどの牙素材は、人間でいうと「歯」のようなイメージです。
主成分はカルシウムで、非常に硬く朱肉の馴染みも抜群なので一生ものの印鑑としておすすめ。
環境の変化を受けにくいので耐久性もありますし、高級感のある見た目も人気が高いです。
ただし現在は希少価値が高く、なかなか手に入らない素材となっています。
いずれも動物から調達できる天然の素材ですので、1つとして同じ柄にならない独特の美しさが魅力です。
他の人と被らない、自分だけの印鑑を持ちたい方におすすめです。
おすすめ角・牙印材5選
今回は古くから定番素材として親しまれている水牛や「印鑑の王様」として知られる象牙など、特徴や作り方の異なる5つの角・牙素材をご紹介いたします。
各素材の最後には今回ご紹介する5つの素材を比べたときの耐久性や価格相場も記載していますのでご参考いただければ幸いです。
黒水牛(くろすいぎゅう)
水牛には「黒水牛」と「白水牛」の2種類があり、生息地や色・大きさなどが異なります。
「白水牛」については、次の「牛角」の項目で詳しくご紹介いたします。
黒水牛は高級感あふれる漆黒の光沢が特徴的な素材で、特に男性から人気の高い印鑑です。
主にベトナムを中心とした東南アジアの水牛の角を加工したもので、印鑑以外にもボタンや箸などに利用されています。
また水牛の角にはグレードがあり、角の中心を通っている芯の部分が含まれた「芯持ち」や黒染めの加工がされていない「染無し」などは一般的な水牛と比べて高価です。
この高価な水牛のことを「純天然黒水牛」(染無し芯持ち黒水牛)と言います。
「染無し」は見た目の美しさが違うだけですが、「芯持ち」であるかどうかは耐久性にも影響しますので実印や銀行印に使う場合は「芯持ち」の印鑑を選ぶことがおすすめです。
外側の部分で作られた印鑑は時間経過によって反ったりひび割れたりすることがあります。
更に水牛は主成分がたんぱく質のため、乾燥や虫食いに注意が必要。
植物性のオイルを塗って手入れしたり、きちんとケースに入れて保管したりして正しく管理しましょう。
価格相場 | 耐久性 | おすすめ用途 | |
---|---|---|---|
水牛(黒水牛) | 4,000円前後 | (3.0) | 認印 |
純天然黒水牛 | 5,000円前後 | (4.0) | 実印・銀行印・認印 |
牛角(うしのつの)
牛角(うしのつの)は別名「オランダ水牛」や「白水牛」と呼ばれ、飴色やクリーム色など透明感のある落ち着いた色合いが特徴の素材です。
大人の高級感が感じられ、男女ともに人気を集めています。
基本的な成分は黒水牛と同じですので、乾燥や虫食いに弱いという点も同様です。
直射日光の当たるところで放置したり、裸のままタンスに入れたりといった保管方法は避けましょう。
また牛角は色合いによってもグレードが異なるという特徴があります。
牛角はクリーム色のベースの中に茶色の模様が入っており、この茶色の部分を「フ」と呼びます。
「フ」の濃さによって「濃色」「中色」「淡色」「純白」と4つのカラーバリエーションに分類されるのですが、異なるのは色合いだけではありません。
牛角は中心(芯)に近いほど「フ」が少ないという特性があるのです。
より耐久性が高く丈夫な印鑑を作りたいのであれば「純白」や「淡色」などの「フ」の少ない印鑑を選ぶことをおすすめします。
また最近は牛角をカラフルな染料でコーティングした「ルミネクルール」という印鑑も女性に人気となっています。
こちらも「芯持ち」を使っているお店がありますのでそちらを利用すると良いでしょう。
価格相場 | 耐久性 | おすすめ用途 | |
---|---|---|---|
牛角(濃色・中色) | 5,000円前後 | (3.0) | 認印 |
牛角(淡色・純白) | 10,000円前後 | (4.0) | 実印・銀行印・認印・法人印 |
ルミネクルール | 10,000円前後 | (4.0) | 実印・銀行印・認印 |
象牙
象牙は高級感のあるアイボリー色が印象的な素材で、「印鑑の王様」として永くその地位を確立してきました。
使えば使うほどに光沢が出て深みを増し、耐久性も抜群なので一生ものの印鑑になります。
また象牙は捺印性の高さも特徴で、朱肉の付きや滑りにくさからはっきりと押すことができるため印材として非常に優秀です。
象牙にもグレードがあり、中心に近い部分で作られた印鑑ほど密度が高く丈夫で高価とされています。
中心部から順に「中心層」「中皮層」「外皮層」となり、「外皮層」は他の部分に比べて目が荒かったり耐久性が劣ったりするため比較的リーズナブルに購入が可能です。
この他「日輪」や「横目芯持ち」と呼ばれるものもあり、こちらは象牙の中でも最も希少価値が高く取り扱っているお店は限られています。
そんな象牙ですが、現在はワシントン条約によって輸入が禁止されており、過去に輸入した在庫を使って印鑑が作られている状況です。
今後は象牙の希少価値がますます上がり、手に入れられる機会は減っていく一方でしょう。
価格も上昇することが予想されますので、象牙を使って印鑑を作りたいとお考えの方は早急に購入することをおすすめします。
価格相場 | 耐久性 | おすすめ用途 | |
---|---|---|---|
象牙(外皮層) | 20,000円前後 | (4.0) | 実印・銀行印・認印・法人印 |
象牙(中皮層・中心層) | 40,000円前後 | (4.5) | 実印・銀行印・認印・法人印 |
象牙(日輪) | 70,000円前後 | (5.0) | 実印・銀行印・認印・法人印 |
河馬(かば)
河馬(かば)は象牙によく似た乳白色をしており、質感などもよく似て耐久性の優れた素材です。
象牙よりも若干柔らかく、ツヤが多いのが特徴です。
現在は象牙の輸入ができないことから、象牙に代わる印材として注目されています。
河馬は象牙よりも多少価格が低いですが、1本の牙から1~2本分しか印鑑ができないためその希少性は高め。
こちらもワシントン条約で輸入には許可が必要となっており、取り扱っているお店が少なくなかなか出会えない素材でもあります。
価格相場 | 耐久性 | おすすめ用途 | |
---|---|---|---|
河馬 | 40,000円前後 | (4.5) | 実印・銀行印・認印・法人印 |
マンモス
マンモスも象牙によく似た色合い・耐久性・捺印性を持っています。
マンモスはすでに絶滅した動物なのでワシントン条約の対象からも外れており、輸入の制限はありません。
とは言え何千年も前の牙ですので象牙と比べるとやや黄色みが強くなっています。
また現在は生存していないため追加で生産されることがなく、そもそもの数が少ないため希少価値は高くなっています。
何千年も前に生きていたマンモスの牙で印鑑ができるというのはロマンがありますので、珍しい素材で個性を出したい方におすすめです。
価格相場 | 耐久性 | おすすめ用途 | |
---|---|---|---|
マンモス | 40,000円前後 | (4.0) | 実印・銀行印・認印・法人印 |
角・牙素材の購入におすすめの印鑑通販サイト
ここまで紹介した5つの印材を取り扱っている通販サイトをいくつかご紹介いたします。
実印・銀行印・認印をセットで購入すると割引になることも多いので、ぜひこの機会に印鑑を揃えてみてはいかがでしょうか。
はんこプレミアム
牛角の各グレードや象牙を扱っており、他店と比べて価格もリーズナブルです。
ハンコヤドットコム
牛角の各グレードや純天然黒水牛など角素材の種類が豊富です。
平安堂
河馬やマンモスといった希少性の高い素材も取り扱っています。
おすすめの角・牙印材まとめ
自然に生きる動物の角や牙から作られる印鑑は有限で価値のあるものです。
特に象牙やマンモスなどの牙素材は年々希少性が増しており高価となっていますので、早めに手に入れるのがおすすめです。
他の人と差を付けたい方、高級志向の方はぜひ角・牙印材で印鑑を作ってみてください。