実印は車や不動産の売買・保険の契約・遺産相続など人生における大きなライフイベントの際に使う大切なハンコです。
しかし、本来あってはならないことですが、実印は日常的に使用するハンコではないため、いざという時に保管場所が分からなくなってしまう可能性があります。
そこでここでは、実印を紛失した場合の対処方法と、実印の紛失に伴うリスクについて解説していきます。
実印を紛失した場合の手続きと必要なもの
実印を紛失したことに気が付いたら、早急に対処しなくてはいけません。
なぜなら実印が第3者に渡ることで悪用され、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があるからです。
実印を紛失した場合、基本的には以下の3つの手続きが必要になります。
- 役所へ紛失届を提出する
- 役所へ改印届を提出し、再登録を行う
- 警察へ紛失届を提出する
それぞれの手続きの流れと、手続きの際に必要となるものを詳しく見ていきましょう。
役所へ紛失届を提出する
実印を紛失した場合にまず行うのが、役所への紛失届の提出です。
紛失届を出すことで、実印と合わせて必要になる「印鑑証明書」の交付ができないようにしてくれます。
実印が法的効力を発揮するためには印鑑証明書とセットで所持している必要があるため、印鑑証明書が無ければ不正使用のリスクが下がります。
とは言え、中には証明書を複製する技術を持った悪徳業者も存在するでしょう。
実印の場所に心当たりが無く、すぐに見つからないようであれば、廃印の手続きをして実印の効力を失くしてしまうのがおすすめです。
紛失届を提出する際に必要なものは以下の3点です。
- 印鑑登録カード
- 本人確認書類
- 認印
この他、代理人が紛失届の手続きを行う場合は委任状も必要となります。
余計な手間がかかる可能性があるので、できる限り本人が役所へ出向くようにしましょう。
役所へ改印届を提出し、再登録を行う
紛失届を提出したら、新しい印鑑を用意したうえで改印届を提出します。
改印届を提出することで、紛失した実印の効力が完全に失われます。
紛失届を出して満足せず、改印届を提出するところまでは早急に行うようにしてくださいね。
また紛失届を提出して廃印手続きが完了したあとで印鑑が見つかったという場合も同様です。
一度廃印扱いになった印鑑は再登録することができませんので、新しい印鑑を用意して改印届を提出しましょう。
改印届を提出する際に必要なものは以下の4点です。
- 印鑑登録カード
- 本人確認書類
- 新しく登録する印鑑
- 印鑑登録申請書
この他、代理人が印鑑登録の手続きを行う場合は委任状と、代理人の本人確認書類も必要となります。
代理人の場合は当日中に手続きが完了しない場合もあり、こちらも極力本人が手続きを行うのがおすすめです。
警察へ紛失届を提出する
最後に、警察へも紛失届を提出しましょう。
実印としての効力を失っている場合でも、印鑑自体の機能は保持されているため、いつの間にか詐欺などの犯罪に加担しているといった可能性もあります。
そのため、面倒であってもきちんと警察で紛失届提出証明書または盗難届提出証明書を発行してもらいましょう。
捜査依頼をしておくことで自分自身も安心できますよね。
警察へ紛失届を提出する際には特に必要なものはありませんが、見つかった場合の受け取りには本人確認書類が必要です。
また、合わせて実印を使って契約した関係各所へも連絡を行いましょう。
実印が悪用されるリスクとは
冒頭でお伝えした通り、実印は人生における重要なライフイベントの際に使われる大切な印鑑です。
では実印を紛失してしまい、第3者によって悪用されることで、どのようなリスクを負うことになるのでしょうか。
勝手にローンや不動産取引を組まされる
紛失した実印が悪用されるパターンとして最もリスクが高いのが、実印を使って勝手に契約を組まされた場合です。
車や不動産などの大きな買い物をするとき、実印は「自分の意思で購入します」という証明の代わりに使われます。
悪意を持った第3者が実印を持ってあなたになりすまし、ローンを組むような大きな買い物を行うかもしれません。
そうなれば購入したものは第3者の手に渡り、多額の支払いだけが自分にのしかかってくるという可能性もあるのです。
もちろん、実印を盗まれただけであれば大きなトラブルにつながることは少ないでしょう。
しかし、実印と一緒に印鑑証明書や身分証明書も盗まれたのであれば、上記のような悪用のリスクは非常に高まります。
またこれは個人の実印だけでなく、会社用の法人印にも言えることです。
社内に悪意を持った第3者が潜んでいる可能性もゼロではありませんので、紛失には十分な注意が必要です。
銀行印と兼ねている場合は更なるリスクも
中には実印や銀行印の重要性をよく理解しておらず、同じ印鑑を登録しているという方もいるでしょう。
両方を兼ねている印鑑が盗まれると、勝手に貯金を下ろされたり、知らない口座へ不正送金をされたりするリスクも。
銀行印の方が実印よりも手軽に不正できてしまうため、盗難された直後に損失を被る可能性があります。
この場合は役所への実印の紛失届と合わせて、銀行へも紛失届を提出しなければなりません。
リスク回避のためにも実印と銀行印は別々に作成し登録することが重要です。
実印の紛失と悪用への対策
実印は法的効力を持つ重要な印鑑であり、紛失すると様々なリスクが伴います。
普段から使う印鑑ではないため、ついつい管理が疎かになりがちですが、不正使用されるリスクを考えて適切に管理することが大切です。
実印の適切な管理方法としては以下のような方法が挙げられます。
- 実印と印鑑証明書は保管場所を分けておく
- 実印は金庫などセキュリティ面の安全性が高い場所に保管する
- 家族であっても過信せず、自分自身で責任を持って管理する
- オーダーメイドで実印を作成して複製困難な印鑑を登録する
中でも、実印と印鑑証明書を同じ場所に保管している場合は注意が必要。
複数の保管場所を作るのは面倒かもしれませんが、実印と印鑑証明書を同じ場所に保管していると、空き巣に入られた場合など非常に危険です。
金庫のようにセキュリティのしっかりした場所を複数用意し、実印と印鑑証明書を別々にしておくこと。
そして、金庫の暗証番号などは自分で管理し、家族であっても安易に伝えないことが大切です。
最後に、印鑑自体についても、店舗で格安価格で販売されているようなハンコを使用せず、ネット通販などで複雑な用いて実印を作成すること。
実印を捺印した際の印影がシンプルだと印影から複製されるというリスクもゼロではありません。
格安な印鑑は機械によって大量生産(機械彫り)されている可能性が高く、文字もシンプルで複製が容易な場合が多いので危険です。
複雑な文字になるよう印相体などの書体を用いてオーダーメイドで作成することで、職人の手が入りより印影の複製が困難となります。
ネット通販ショップで注文すれば印鑑の値段も安く、最短即日発送にも対応しているので、急に実印が必要になった場合もスピーディーに対応してもらえると人気です
高級な材質(印材)ではなくても問題ないので、悪用防止の観点からオーダーメイドで作成しておくことも重要となります。
紛失した場合の手続きまとめ
実印を紛失した場合の必要な手続き
- 紛失届と改印届の提出を行い、速やかに実印を変更する
- 警察への届出も合わせてしておくのがおすすめ
- 他人に預けず、自分自身でしっかりと管理することが大切
- 複雑な書体を用いて職人の手が入った印鑑で実印登録
実印は自分の分身とも言える大切な存在です。
日頃から適切な管理を行い、紛失や盗難のリスクから守るような意識付けをしていってくださいね。