【法人の登記事項証明書】取得・発行・交付申請の方法・手順

会社の登記簿謄本の発行手続き

法人の登記事項証明書とは、「その法人が実在している」ことを証明するための書類です。かつては登記簿謄本と呼ばれ紙の書類で管理されていましたが、電子データ化され登記事項証明書に変更されました。

法人の登記事項証明書は、銀行口座の開設など法人の手続きでは何かと必要になりますが、「取得の手順についてはよく知らない」という方も多いことでしょう。そこで、このページでは、法人の登記事項証明書を取得するための具体的なステップについて、わかりやすくご紹介します。

法人の登記事項証明書とは何のためにあるのか

法人の登記事項証明書には、法人設立の際に法務局(登記所)に登記した情報が記載されています。主な内容は「商号(会社名)」「本店所在地」「会社設立日」「事業目的」「発行可能株式総数」「資本金額」などで、例えば下記のような場面で必要となります。

登記事項証明書が必要となる主な場面

  • 移転、社名変更、事業目的の追加など登記事項の変更申請
  • 労災保険・雇用保険・社会保険への加入手続き
  • 法人名義の銀行口座の開設
  • 事務所の賃貸契約
  • 銀行への融資の申込
  • 補助金の申請
  • 法人税納付手続き
  • その他重要な契約の締結

法人の登記事項証明書の種類

法人の登記事項証明書とは「履歴事項証明書」「現在事項証明書」「代表者事項証明書」「閉鎖事項証明書」という4種類の証明書の総称で、それぞれ記載されている中身が異なっています。

①履歴事項証明書

現在効力がある登記事項に加えて、3年前の元日以降に変更された事項も全て記載された、一番情報量の多い証明書。

後述の②現在事項証明書と③代表者事項証明書の記載事項も全て含んでいるため、上述した「 登記事項証明書が必要となる主な場面」の全般で使用されます。

②現在事項証明書

現在効力がある登記事項だけが記載された証明書で、①履歴事項証明書より見やすいのがメリット。

現時点で効力を有する登記情報について証明する必要がある場面で使用されます(特に大規模法人の場合、履歴事項証明書では記述が膨大になり過ぎて分かりづらいため)。

③代表者事項証明書

商号、本店所在地、代表者の氏名・住所・資格(肩書きのこと。代表取締役、代表理事など)が記載された証明書。主に下記のような場面で使用されます。

  • 不動産の登記申請に「代理権限証明情報」として添付するとき
  • その他、現時点で会社の代表権限を持つのが誰であるかを証明する必要があるとき

④閉鎖事項証明書

現在効力がなく、履歴事項全部証明書にも記載されていない、3年前より過去の情報が記載された証明書。主に下記のような場面で使用されます。

  • 履歴事項証明書に記載されない「過去の登記事項」を証明する必要があるとき
  • 閉鎖された会社の登記記録が必要なとき

なお①「現在事項証明書」②「履歴事項証明書」④「閉鎖事項証明書」には、全ての登記区分について記載されている全部事項証明書(謄本)と、指定した区分についてのみ記載されている一部事項証明書(抄本)の2種類があり、提出先の要望に応じて取得することになります。

それぞれ取得に要する手数料はどれも同じなので、登記事項証明書の提出を求められた場合、全ての履歴が記載された「履歴事項全部証明書」を用意しておけば、基本的に問題ありません。

法人の登記事項証明書を取得する4つの方法

法人の登記事項証明書を取得する方法には以下の4つがあります。

  1. 法務局の窓口で申請する
  2. 証明書発行請求機を利用する
  3. 郵送で発行を依頼する
  4. インターネットでオンライン請求する

登記制度は、取引を行う可能性のある法人についての一定事項(代表者等は誰か、資本金はいくらかなど)を確認するためのものでもあり、誰でも請求可能です(委任状などは不要です)。そのため最近では、他社の情報収集に利用されることも増えています。

それでは個別に詳しくご説明しましょう。

(1)法務局の窓口で申請する

全国どこの法務局(登記所または法務局証明サービスセンター)の窓口でも取得できます。各法務局・地方法務局の所在地はこちら をご参照ください。

ただし、閉鎖事項証明書は管轄の法務局でなければ取得できません

申請に必要なもの
  • 登記事項証明書交付申請書(法務局HP内からダウンロード可能)
  • 1通につき600円の収入印紙
申請書への記載事項
  • 申請人(窓口に出向いた人)の住所・氏名
  • 商号・名称
  • 法人等の住所
  • 会社法人等番号(分かっている場合のみ)
  • 請求事項と通数(必要な証明書の□にレ印を付ける)
※記入例はこちら をご参照ください
手順 必要事項を記入した申請書を収入印紙と共に窓口へ提出

(2)証明書発行請求機を利用する

法務局によっては証明書発行請求機が利用できます。登記事項証明書交付申請書への記入が不要で、ガイダンスに従って必要事項をタッチパネルで入力するだけなのでお手軽です。

証明書発行請求機の設置先はこちら をご参照ください。

利用時に必要なもの 1通につき600円の収入印紙
手順
  1. 画面の案内に従って必要な情報を入力する
  2. 請求内容と手数料を確認し名前を入力すると、整理番号と手数料額が記載された整理番号票が発行される
  3. 名前または整理番号を呼ばれたら、番号票と引き換えに申請用紙が渡されるので、そこに600円の収入印紙を貼付し提出すると証明書が交付される

(3)郵送で発行を依頼する

多忙や病気などの理由で登記所に直接足を運べない場合は、最寄りの法務局宛に必要なものを郵送して、登記事項証明書の発行・返送を依頼することも可能です。

最寄りの法務局の所在地はこちら をご参照ください。

申請に必要なもの
  • 登記事項証明書交付申請書(法務局HP 内からダウンロード可能)
  • 1通につき600円の収入印紙
  • 返信用切手と返信先を記載した封筒

(4)インターネットでオンライン請求する

法務局の「登記・供託オンライン申請システム」(登記ねっと)を利用すれば、取得したい法人の登記事項証明書をインターネットで請求し、指定した住所へ郵送してもらうこともできます(窓口での受け取りも選択可能です)。

利用時間は土日祝と年末年始(12/29〜1/3)を除く平日8:30〜21:00と長いため、勤務時間後に自宅で請求することも可能です。

一度申請者情報登録を済ませておけば、今後の証明書請求が楽になるので、頻繁に登記事項証明書の交付が必要となる方にはおすすめです。

手順
  1. インターネットで法務局の「登記・供託オンライン申請システム」 にアクセス。申請者情報登録を行いIDとパスワードを取得する
  2. IDとパスワードを取得したら、「かんたん証明書請求」のページにログインし、証明書請求メニューから「登記事項証明書(商業・法人)」を選択する
  3. 請求したい会社を検索し、必要な項目を入力して請求書を作成する

なお、オンライン請求でかかる手数料は、郵送の場合が1通500円、窓口での受け取りは1通480円です。窓口で受け取る場合は、準備ができているかどうかメールで通知してもらえます。

手数料の納付はインターネットバンキング,モバイルバンキング、または電子納付対応のATMが利用できます。詳しくはこちら をご参照ください。

まとめ

Logg-in.com編集部まとめ

法人の登記事項証明書とは

  • 法人の登記事項証明書(別名:登記簿謄本)は、「履歴事項証明書」「現在事項証明書」「代表者事項証明書」「閉鎖事項証明書」の4種の証明書の総称
  • 「履歴事項証明書」「現在事項証明書」「閉鎖事項証明書」にはそれぞれ「全部事項証明書」と「一部事項証明書」の2種類がある
  • 登記事項証明書の提出が求められた場合、「履歴事項全部証明書」を用意するのが一般的
  • 「閉鎖事項証明書」以外の登記事項証明書は、全国どこの法務局でも取得可能
  • 法人の登記事項証明書の取得には4つの方法がある
方法 必要なもの 手続きのステップ
①法務局の窓口で申請
  • 登記事項証明書交付申請書
  • 600円の収入印紙
必要事項を記入した申請書を収入印紙と共に窓口へ提出
②証明書発行請求機を利用
  • 600円の収入印紙
  1. 請求機に必要事項を入力
  2. 請求機から発行される整理番号票を持って待機
  3. 窓口で出力された申請書に印紙を貼付し提出
③郵送で発行を依頼
  • 登記事項証明書交付申請書
  • 600円の収入印紙
  • 返信用切手と封筒
左記の「必要なもの」一式を最寄りの法務局へ郵送し、証明書発行と返信を依頼
④オンライン請求 なし(手数料はネットバンキング等で支払)
  1. 法務局の「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスし申請者情報登録を行う
  2. 「かんたん証明書請求」のページにログインしメニューから「登記事項証明書(商業・法人)を選択。目的の法人を検索し、必要項目を入力し請求する
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